前回「葛生に廃線群と石灰石鉱山を見に行ってみた(前編)」の続きです。


山の間に広がる田園地帯から外れて、日鉄羽鶴線の廃線がある方向の道を進んでいきます。
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急な坂道をしばらく登ると、日鉄羽鶴線の踏切跡を見つけました。
上白石駅などと同じように線路はありませんが、相変わらず路盤はそのまま残っています。
羽鶴線のほうも結構な急勾配に敷かれています…


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踏切前後にあった柵は廃レールの再利用品でした。


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踏切の先も急勾配のまま線路と一定間隔を開けて並行していきます。
機関車1両で貨物列車を牽いて登り降りするのは厳しいんじゃないかと思える斜度でしたが、下るときに積車で登るときは空車なので、牽引力よりもブレーキ力が重要になりそうな線形です。

道路から鉱山への私道が分岐していて、羽鶴の鉱山前に。。


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道路沿いにあった鉱山の案内図には羽鶴線が描かれたままでした。


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線路跡を跨ぐ陸橋がありました。
ここは羽鶴線を取り上げた記事でよく見かける有名なアングルですね。
緩やかなカーブがいかにも鉄道的です。


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わずかな平地に灰色一色の工場群が建て込んでいました。
この実用一辺倒で無機質なデザインは惹かれるものがありますね。。


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情景製作用に細部観察を…
ひとえに石灰汚れと言っても、単に真っ白になるのではなく、薄灰色の泥状に汚れが付いているパターンも見かけました。
トタン張りの外壁はコルゲート板を小さく切って貼り重ねるのがベストでしょうか…


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斜面に建つ設備群。
この辺りが羽鶴線の終点で、かつてはヤードが広がっていたようですが今では殆ど面影がありませんね。
外壁に描かれた社紋が良い感じです。


この場所で廃線は終わりですが、マップを見るとさらに先にも採掘場や工場が間近で見れる場所があるようなので進んでみます。
葛生駅からずっと登りでしたが、ついに尾根を越えて下り坂に。


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道の頂上付近からは羽鶴鉱山の真裏にある採掘場が一望できました。
全国の石灰石鉱山と同じように、露天掘りで斜面を段々に削っていくベンチカットでした。

頂上を過ぎると今度は急勾配で一気に下って、断崖絶壁になった崖沿いに出ました。

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断崖絶壁の開けた場所から見えた対岸の斜面は、ここもまた山肌が完全に剥がれた採掘場になっていました。。


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とにかく凄まじいスケールです…
右側に2階建ての建物が建っていますが、それと比べると中央にある3つの坑口のサイズが異様に巨大ですね…
おそらく10m四方はありそうです。
休日でしたが稼働していて、超大型の鉱石輸送トラックが行き来しているのが見えました。
まわりの景色でスケール感が狂いますが、あのトラックも相当な大きさだと思います。

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羽鶴側に比べてこちらは地形が険しくて、1車線で曲がりくねった急坂で鉱山のある谷まで降りていきます。


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谷に建つ石灰工場が一望できました。
このくらいの俯瞰アングルで見ると模型化する際のバランス把握がしやすそうです。


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下まで降りて鉱山道を進みます。
公道ですが、まるで鉱山の中を通り抜けるような道に…
人家の無い山の中でどこにも通じていない道なのにファミリーカーがひっきりなしに往来していて困惑しましたが、後から調べたらこの山の奥に有名な神社があって初詣で混んでいたみたいでした。
白線や標識が見えない実質的な鉱山道なので、初めて通るとビックリしそうですね…


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こんな感じで積み込み用のホッパーまで道路のすぐ脇にあったりします。
鉄道はありませんが資料収集的にも探索的にも面白い道です。


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道路から直角に鉱山会社所有のトンネルが分岐していたり…


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マスクが欲しくなるくらい石灰粉が舞っていました。


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自転車のタイヤも真っ白に…
鉱山や工場と言うとススや錆の色のイメージですが、石灰系の鉱山はどこも白く染まっていて、より独特な景色が見れるのでとても興味を惹かれます。


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反対側の斜面も採掘場になっていて、完全に石灰鉱山に囲まれた道路でした。
会社によって設備群の造りが微妙に違っているのも興味深いです。


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工場が途切れて集落に入る手前には山神宮が。。


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道路沿いにあった廃屋。
鉱山からのトラックから舞う石灰汚れで白化していました。
道の周囲に住んでいると粉塵で大変そうですね。


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道路脇にはこんな看板も。。

葛生から山を越えてきてしまったので、葛生駅に戻るには再び山を越えなければいけません。
時間的に葛生駅へ戻る頃には日没になってしまい再探索は不可能そうなので、距離的に一番近い栃木駅で出ることに。

会沢線方面に行けなかったので、やっぱり再訪問必須ですね。
とは言え1日だけでも刺激を受ける景色を沢山見れたので、来てみて良かったです。


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栃木駅の周辺も古い町並みが多く残っていて良い風情でした。
こういう景色のある街は落ち着きます。。



おわり。。